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『洗脳 地獄の12年からの生還』を読んで

X JAPAN のボーカリスト、Toshlがホームオブハートというカルトに搾取され続けた12年間を書いた『洗脳 地獄の12年からの生還』を読み終わりました。発売日に届いたのですけど、胸が苦しくなってくるので随分読み進めるのに時間がかかり、今になってようやく読了しました。

ホームオブハートの問題は、身近に裁判に取り組んでいる方が居て少しばかり知っていたのですが、この本の内容は衝撃的でした。恐怖と暴力でがんじがらめにされながら、なおも自分を搾取する存在に「申し訳ない」と従ってゆく姿は、まるで両親から虐待を受け続けながらも他に行き場のない子供のようでした。読んでいてあまりにも救いがないので途中で何度か断念しようと思いましたが、最後にはToshlは多くの協力者の助けを得てホームオブハートの支配下より脱出します。それまでに何度も繰り返された「僕の人生、どうしてこんなになっちゃったんだろう…」という言葉が重すぎました。

この話は「とにかく本を買って読んでみてください」以外に言えることはあまりないのですけど、読んでいてふと思い出したことがあるのでそれだけ書いておきます。

Toshlが自分の状態になにかおかしいのではないかと疑問を持ったのは、彼を恐怖で依存させ支配し続けたMASAYAと取り巻きが、自分から搾取した金で豪華な施設に住み、高級ホテルで贅沢三昧をしている姿を見たのがきっかけでした。そのシーンを読んでいた時に、ふと親鸞会時代の一つの出来事が脳裏に浮かびました。

それは、本部会館のアリーナであったことです。当時顕真学院生だった私は、なんの用事だったかは忘れたのですが、他の学院生とは行動を別にして、本部会館に残っていました。その時はなぜかアリーナが立入禁止になりエアコンが入れられていました。そして、高森会長が車で訪れました。

何かあるのだろうかと2階からアリーナを覗きこんでみると、そこにはアリーナ一面に美術品が並べられていました。そして高森会長が幹部とともに入ってきて、絵を見てはあれこれと指示を出していました。膨大な美術品でした。

後日、その美術品は、高森会長が海外布教に行った際に「画廊ごと買い取ってきた」ものであることが分かりました。参詣者が心癒されるように私財で買ったという話でしたが、どう考えてもアリーナ一杯の量の美術品を当時の会館に飾ったところで全部なくなるはずはなく、残りはどこにいったのか。

高森会長は海外布教に行くたびに美術品を買いあさっていましたが、「どれをどの位置に飾るかまで御心を砕かれた」という話で会館に飾られたその一部の絵画は、現代書道の隣にトロピカルな南国の絵が飾られているようなセンスの欠片もないチグハグなもので、抽象的な現代画の中には縦横が間違っているものもありました。

その後私は講師部員に認定されて任地に赴きましたが、貧しい生活をしてギリギリまでご報謝(献金)をする会員さんや、靴下やシャツも買えないほど厳しい金銭状況の中でいつも思い出すのは、あのアリーナ一杯の美術品の中をゆっくりと歩く高森会長の姿でした。

ゆっくりとゆっくりと絵を見て歩き、指示を出す高森会長。一体何のために莫大な浄財を投じてあんなことをしていたのか、未だによくわかりません。

Toshlは12年間ホームホブハートの中で苦しんだといいます。私も12年間親鸞会の中にいました。暴力に耐え続けたToshlと違って、親鸞会では体罰や暴力といったことはほぼありませんでした。私の場合は苦しかったけど苦しいことだけじゃない親鸞会の生活でした。Toshlの場合は、本を読む限りはただ理不尽に苦しみ続ける姿だけが伝わってきます。被害額は10億円超。桁が違います。

私はよくカルトを脱会した人に「カルトの経験がかけがえのない人生の一部であったと思えるようになったらいいね」と話をしますが、この本に書かれている経験にはそんな言葉を投げかけるのもなにか間違っているような気分にさせられます。

いずれにせよ、外に出られたのです。これからのToshlさんの人生の輝きを念じています。

この本、とても衝撃的なものです。是非一度読んでみてください。ただ、親鸞会の脱会者の人は読むのがかなり苦しいかもしれません。その場合は、無理して最後まで読む必要はないと思います。


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