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フロギストン説

18世紀のヨーロッパでフロギストン説というのが言われていたことがあります。「ものが燃える」という現象を説明するための理論で、燃えるということは、そのもののなかに含まれている燃焼物質(フロギストン)が離脱することである、というものです。つまりは紙が燃えたあとの灰などは、フロギストンが離脱したあとの抜け殻だというのです。

ところがこの説にあわない現象も知られていました。金属の燃焼反応です。金属が燃えるというのは錆びることです。錆びた金属と錆びる前の金属とどちらが重いか。測ればフロギストンが離脱した抜け殻のはずの、錆びた金属のほうが重いわけです。そしてそのことはフロギストン説が現れる前からわかっていたことでした。この事実はフロギストン説への決定的な反証であるように思われますが、当のフロギストン説を共有していた人々にとっては「フロギストンはマイナスの重さを持っている」と理解していたのです。

今日の私達にとっては屁理屈にしか見えないような理解でしたが、彼らにとっては十分に客観的かつ説得的な解釈だったのです。そしてこの説は広く当時の科学者によって共有されていました。これを屁理屈と思うのは、今日の私達が酸化還元反応という、フロギストン説を覆す理論を知っているからに他なりません。もし今の世の中が18世紀で、学校でこうした理論を「事実」として習ったならば、今日の私達も同じような見方をしていたでしょう。

親鸞会にいるときは、親鸞会の三願転入論が正しい、私は確実にこの解釈は間違いのないことだと信じていました。しかしそれは自分で聖教を読んで様々な論文や解釈にあたって自分が選びとったものではありません。自分が「三願転入説」を共有している環境の中に身をおいていて、それ以外の教義解釈をまともに学んだこともなく、私以外の人もみな親鸞会が正しいと信じ込んでいたからに他なりません。本当にただ、それだけの事だったのです。それはちょうど、18世紀の人々がフロギストン説を「自明のこと」と受け入れ、すべての燃焼の現象をその理論の上で理解しようとしていたことに似ています。

親鸞会にいたら、実はこれはおかしいのではないか、と思うようなことはだれでもあると思います。すでに親鸞会の教義解釈を覆すような聖教の言葉に十分に触れていながら、多くの人はそれをいろいろな理屈をつけて「親鸞会は正しい」「三願転入説は正しい教義解釈である」という思い込みの上に無理なく収めようとします。しかしそれは外から見たら完全な屁理屈なのです。

今年は親鸞会の結成55周年だそうです。私が入会したのは35周年の時でしたから、もうあれから20年になります。

このブログを読んでいる現役会員の皆さんがどれだけ親鸞会での日々を過ごしたかはわかりませんが、いまあなた方が当然と思っていることが、当然じゃないという世界があることを知ってください。そしてそれは皆さんの目の前に待っているのです。別に本願寺派の偉い人の論文など読む必要はありません。手元にある真宗聖典だけで十分です。

閲覧者の皆さん、今年もよろしくお願い致します。

「我々の決断の大部分は、実際には我々自身のものではなく、外部から我々に示唆されるものである。決断を下したのは自分であると信じることはできても、実際には孤独の恐ろしさや、我々の生命、自由、安楽に対する、より直接的な脅威にかりたてられて、他人の期待に歩調を合わせているのである。」(「自由からの逃走」エーリッヒ・フロム)

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コメント

さすが理科系ご出身のぶるうのさんと拝されます。とてもこんな高度なことは書けませんが、私でも知っているオカルト関連の高森氏の間違った知識をひとつ…たしか『こんなことが知りたい』の前のほうの巻で、19世紀のアメリカの幽霊屋敷のことを、彼は取り上げていたと記憶します。

この幽霊屋敷ですが、実は霊的能力ありとされた幼い姉妹が大人をだまし、手を使わずひざの関節を鳴らしていたのを、中年以降、良心の呵責に耐え切れず、真相を語ったのです。ところが霊的現象を信ずる人々はこれじゃ困ると、彼女ら姉妹を老いてぼけてしまったと非難。でも真実はやはり姉妹の告白どおりでした。


今月のなんにちが、西本願寺座り込み30周年記念日なのでしょうか。『別冊宝島』で「80年代のカルトな青春」と表現されておりましたが、たしかにその通りですよね。

投稿: | 2014年1月 8日 (水) 19時35分

8年で辞めましたが、それでも人生を大きく狂わされました。
何十年も会員でいる人とか本当に絶望的に見えます。

投稿: | 2014年1月 8日 (水) 20時55分

ここに書いている記事の中の「ゆがんだ情報処理」ってやつですね。

なぜ私は親鸞会をやめたのか|マインドコントロールについて
http://nazeyame.shinrankai.biz/mindcontrol/naze10.html

投稿: | 2014年1月 8日 (水) 20時55分

【親鸞会のスローガン】
「どんな人にも必ず売ります 絶対の幸福を(もちろんタダではありませんヨ)。絶対の幸福が買えるのは親鸞会だけ」

投稿: | 2014年1月 8日 (水) 23時04分

こんなんも気を付けましょう
人生経験は積むべきだがカルトはいらないよ

http://honto.jp/

ここでいろんな書評が載っている模様です

投稿: | 2014年1月 9日 (木) 01時35分

伊達めがね
サンダーバード
父子相迎(ふしそうこう)--み●●る

     ……画面に大きくこの俳句(?)が映し出され、2代目善智識さまが声たからかに--「会長」は「怪鳥」、「サンダーバード」は英語では「雷鳥」。どおや、どっちも鳥だから「一脈相承」や!とのたまう。「父子相迎」は『観経疏』ならぬ『般舟讃』ですが、いちおうは善導大師のお言葉であるし、2000畳のあちこちに配したサクラたちが感激の慟哭をするので、ついつい一般の信徒までも雰囲気に呑まれてしまう。

そこへ…

   「みんな、わしは高森先生みたいにみんなに仰がれるお手本にはなれんが、どんな阿呆でも弥陀のお慈悲にすくい取られるという見本になられる」とかなんとか涙まじりに語り、大型スクリーンには不倫事件の盗撮録画が大写しになる(なお、「手本にはなれんが、見本にならなれる」とは、大谷派の高光大船師の名言です)。

   ここでまたサクラどもが慟哭、多くの信徒も雰囲気に呑まれ、めでたく息子さんが2代目善智識さまとして少なくとも会内では認証される。こんなもんでどうでしょう。

投稿: 襲名披露の脚本にでも… | 2014年1月 9日 (木) 12時45分

http://www.keyrose.net/2013/10/shinrankai-55th-3/

いかがなものでしょう、最近、息子さんは、教鞭(?)の持ち方も、背中の丸まり具合いも父親である高森氏にどうも似てきています。これでは金正恩氏がやったような祖父(金日成)に似せるための整形手術も不要ではないかと思われます。

投稿: ああっ,背中の丸まり方まで | 2014年1月 9日 (木) 13時06分

それより顔モザイクwww
よっぽど表に出せない顔なんだろうな

投稿: | 2014年1月 9日 (木) 15時00分

>別に本願寺派の偉い人の論文など読む必要はありません。手元にある真宗聖典だけで十分です。

まったく同感。て言うか、専門的なものに手を出す以前に知ってなきゃおかしいことを知らない人が多すぎる。さすが学業放棄してた人達だけあって世間一般の人と比べても極端に学がないし、しかも無知に居直る悪癖まである。どうせフロギストン説もフロムの本もここで初めて知ったような人が多いんだろうし、ググることもなければWikipediaも見やしないだろうが、そんな状態で専門的なものを読むのは時期尚早すぎる。そのくらいだったらもっといろんな本を先に読んだ方がいいし、そんなことは後からいくらでもできる。

引用されている『自由からの逃走』は、(どうせそんな人は本当にぶるうのさんくらいしかいないだろうが)読める人はちゃんと読んでおいた方がいい。これを読めば、じぶんがどうして親鸞会なんかにはまってしまったかよくわかるだろうから。

昔のインテリはみんなフロムやマルクーゼくらい読んでたんだけどね。。

投稿: | 2014年1月 9日 (木) 15時21分

his ass is censored!

投稿: | 2014年1月 9日 (木) 22時25分

高森光晴先生の無修正が見たいです。(^○^)/

投稿: | 2014年1月 9日 (木) 22時26分

さあて、今年はどのような詐欺行為をするのやら
情報お待ちしてます

投稿: 上怒審宗心乱会 | 2014年1月10日 (金) 10時41分

>>別に本願寺派の偉い人の論文など読む必要はありません。手元にある真宗聖>典だけで十分です。
>
>まったく同感。

わたくしもまったく同感です。

投稿: | 2014年1月10日 (金) 13時11分

   人ひとりのいのちを救うことは七重の塔を建立するにもまさる善行だと聞いております。

   かの大川某には、わずか28歳で若年性脳溢血に倒れ、50歳近くで逝去するまで寝たきりだった京大卒の兄あり。その医療費は弟である大川某によってまかなわれたのですが、より厳密に言えば、信徒からの布施によってまかなわれたのだと言えるでしょう。

   体調がいつもすぐれぬという二人目の息子さんの医療費もまた、会からの支出によって、会の病院で主たる治療がなされているものと見られますが、その治療費や病院を建てるためのお金も現役と元の双方の会員さんからのご報謝でしょう。

   どんな人間であれ、一人の人のいのちを救うことは尊い。決してネット用語で言われるような「誤放射」などではないものと信じますが、同時に高森家の各位がもっと会員諸氏へあからさまに感謝の意を示してしかるべきでしょう。しかるに現状は?  邪教のはずの大川某と同様とあっては、いかにも情けないことです。

投稿: | 2014年1月10日 (金) 14時57分

     「陣頭指揮」という日本語に革命的な変化を与えてしまった本願寺座り込み事件から30周年。ぶるうのさんも目の当たりにした事件ではないので、このあたりでそろそろ元会員さんの中の経験者でいらっしゃる方々がほろ苦いなつかしさとともに語ってくださるようひそかに念じてやみません。

      なお、悪に強きものは善にも強いとも申します。息子さん(長男のほう)を見るに、暴走族でトップを務めたとは到底思われません。暴走族あがりめ…と切り捨てるのではなく、暴走族の組織の中でなにをしていたのか、真実を知る老会員(元会員をも含む)の証言が期待されます。
      もしも彼が暴走族集団の中でもトップだったのであれば、もう少し巧みな人事戦略を弄してきたはず。ところが実際には……たかがたい焼きごときに礼状を求める。以前ぶるうのさんが、「男気があってよいです」とほめてあげていましたが、これなどは彼が60年近い人生の中で最初に耳にした誠意のこもった(しかし同時に武士の情けもこもった)ほめ言葉だったのではないでしょうか?

投稿: 陣頭指揮から30周年… | 2014年1月10日 (金) 15時03分

誤放射??? 御宝捨の間違いでは!?

投稿: 上怒審宗心乱会 | 2014年1月10日 (金) 17時06分

http://maxim.kamimoto.jp/life/post-558.html?utm_source=zenback&utm_medium=http%3A//shinrankaidakkai.hatenablog.com/entry/2014/01/06/173446&utm_campaign=zb_related_links
かんしゃくの「く」の字を捨ててただ感謝

言ってることとやってることが正反対の高森さんです。なにしろ星一徹や『自虐の歌』のダメ夫みたいに、料理が気に入らないとちゃぶ台をひっくり返すんですから。

投稿: 初笑いには間に合いませんでしたが | 2014年1月11日 (土) 13時52分

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